日本は高齢化社会に伴い、介護福祉士の数は増加の一途をたどっています。しかしその一方で、報酬が不十分であることや介護業務が重労働であることなどから、勤続年数は5年から6年程度と短い傾向にあります。
また、勤続1年未満の介護職員の給与額もやや低い傾向です。全産業の平均給与と比較して、20代前半ではおよそ1万円程度の差があります。
こういった現状を反映してか、内閣府の平成22年の介護保険制度に関する意識調査では、介護職について「社会的に意義のある仕事」という回答が58%あったものの、一方で「夜勤などがあり、きつい仕事」という回答は65%にのぼりました。
「給与水準が低い仕事」という回答も50%を超えており、こういった介護業界へのマイナスイメージが人材不足の一因と考えられています。また、人材不足や報酬といった問題は、介護職員が働くにあたってモチベーションが下がることにもなりかねず、利用者への虐待や離職率など他の問題にもつながっていると考えられています。
介護業界の制度上の問題点として、介護報酬を国が改定するため、業界が自由に報酬を設定することができないという点もあります。厚生労働省はこうした状況を受け、労働環境と待遇の改善により介護職の専門性を確立し、人材を確保するという計画を立てています。
これらの問題を改善するため、介護職員の処遇改善加算という政策がとられいます。しかし、加算を受けるためのハードルが高く、対策として不十分なものにとどまっています。需要は拡大傾向にあり、将来性がある介護業界ですが、一方で課題が山積みになっているのも事実です。