介護業界は、様々な問題を抱えています。団塊世代が75歳以上になり、要介護者も急激な増加が見込まれる2025年には、現行の問題がさらに深刻さを増すといわれています。
1つめの問題は、介護職員は約34万人も不足し、深刻な人材不足に陥る可能性です。介護職員を確保するためには待遇の改善が最重要課題であり、そのためには給与と人材を増やす必要があります。それはつまり、財政の圧迫につながるのです。
2つめに、医療の進歩により寿命が延びることによって、高齢の子供が親を介護するいわゆる老老介護が多くなっており、この数は今後も増え続けることが考えられます。
現在でも、在宅介護をしている家庭の多くが老老介護だといわれています。高齢での介護はとても負担が大きく、どこに向けて良いか分からない不安や不満、ストレスが虐待へとつながってしまうこともあるので注意が必要です。
3つめの問題としては、65歳以上の割合が全人口の30%にも上る可能性があることです。介護施設やサービスの不足から、要介護状態であっても必要な介護を受けられない介護難民も約13万人発生すると見られています。
そして最後に、将来的に国を支える存在である子供たちの出生率が年々低下していることです。出生率低下によって、ますます少子高齢化に拍車がかかっていることが懸念されています。
2017年時点では、65歳以上の高齢者人口と15~64歳までの生産年齢人口の比率は1対2.2、つまり高齢者1人を2.2人の成人が支えているのです。この数値は今後さらに悪化するとされており、将来的には社会保障費が膨大になり社会全体として高齢者を支えられなくなるのではないかといわれています。